Ari's Blog

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永遠の0

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今更という感じではあるが、始めて読んだ。映画は見ていない。

誰よりも戦争から生きて帰ることを願い、その為に出来る限りの努力をした、零戦のパイロット宮部久蔵がなぜ特攻隊で死んだのか?を、その孫が宮部を知る戦友から話を聞きながら、宮部久蔵という人間像、当時のパイロットの心境、特攻隊のパイロットの心境を描いた作品。

祖父である宮部久蔵を知る戦友から話を聞く健太郎。臆病者と言われ、名パイロットと言われ、かの太平洋戦争の最中(さなか)誰よりも死を恐れそれを公言していた宮部久蔵。その宮部を語る戦友の中で、最も私印象的の印象に残ったのは、「宮部を心底憎んでいた」と言った景浦という男だ。

パイロットとしての腕前に宮部に完膚なきまでに負けた景浦は、いつしか宮部より長く生き延びることだけが生きる目的となっていた。宮部より先に戦争で死ぬことはありえない。宮部が死ぬのをこの目で見届ける、とまで言っていた景浦。そんな彼の言葉が印象に残る。

どんなことがあっても宮部の機を守り抜く。敵の銃弾は一発も当てさせない。宮部に襲いかかる敵機はすべて撃ち墜とす。弾がなくなれば、体当りしてでも墜とす。

俺は声の限り叫んだ。ただもう訳もわからず叫んでいた。日本など負けろ!帝国海軍は滅べ!軍隊など消えてなくなれ!そして軍人はすべて死ね!
俺は散々叫びまくったあとで、嗄れた喉で呟いた。「宮部さん、許して下さい」
自分がそう呟いているのに気づいた時、涙がとめどもなく流れた。

「あの時…」不意に景浦は呟くように言った。「奴の目は死を覚悟した目ではなかった」

景浦が見た宮部久蔵の最後を、景浦はそう語った。この場面だけを読むと、「特攻に行く宮部を救いたい!何がなんでも救いたい!」でもそれが出来ない景浦の無念さもさることながら、もはや宮部の「生」を懇願している心境が描かれている。心底恨んでいる人間に対する「生への懇願」。それを許さない「日本」という国への心の底からの憎悪。健太郎に語った「宮部への憎悪」とはもはや全く逆の内容だ…。そんな景浦が戦後どうなり、何をしたか?ストーリーは意外な展開をする。それは宮部の妻である松乃が生前語った内容に描かれている。そんな彼女の言葉にも宮部の執念を感じる。

そして、宮部はこう言いました。たとえ死んでも、それでも、僕は戻ってくる。生まれ変わってでも、必ず君の元に戻ってくる、と

松乃の言葉は、「健太郎の本当の祖父ではない」と告げた賢一郎から語られる。宮部、松乃、賢一郎の関係とは?賢一郎が生きて終戦を迎えられた理由が泣ける。あれだけ生きて帰ることに執念をもやし、耐えてきた宮部が何故…。

一気に読んでしまえる、それでいてうっかりすると涙してしまう、とても心に訴える小説であった。映画を見たら泣いてしまうだろう。まだ見ていない。

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Written by arito

2016-05-09 @ 23:49

カテゴリー: 読書

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